top of page

リテールメディア版データクリーンルームが登場

更新日:2月28日

ドラッグストア大手のツルハホールディングスが、リテールメディア戦略で新たな動きを見せた。リテールメディア支援会社のアドインテとタッグを組み、「ツルハデータクリーンルーム」を立ち上げた。

【業界初】ツルハホールディングスが、日本の流通小売業として初のツルハデータクリーンルームを構築! https://adinte.co.jp/news/10079/

果敢にもデータクリーンルームの説明に挑戦しよう

データクリーンルームという言葉を初めて聞いた方も多いだろう。データベースを触ったことの無い大半の人類に対して、これほどまでに説明の難しいものは無い。簡単に言えば、データクリーンルームは個人情報を保護しながら企業を跨いで広告効果検証などを可能にする仕組みだ。2018年頃からGDPR(EU一般データ保護規則)やAppleのプライバシー強化などの動きが進み、企業がデータを他社と共有しながらも安全性を担保する必要があり、その折衷案として注目されている。


データクリーンルームは基本的にクラウド上に構築され、メールアドレスや会員IDなどの個人関連情報を直接扱うことなく、分析結果のみを取得できる。本来広告主が知りたいのは広告の効果があったのか無かったのか、商品を買ったのはどんな傾向の人々なのかといったことなので、その分析過程で扱いたくなくても扱わざるを得なかった個人情報に触れなくて済むし、第三者にも詳細なデータを提供せずに済むのである。

(参考)リテールメディア用語集「データクリーンルーム


データクリーンルームの主要プレイヤー

データクリーンルームには、3つの主要プレイヤーがいる。

  1. メガプラットフォーマー

    • GoogleはGCP (Google Cloud Platform) 上に「Ads Data Hub」を展開し、Google広告を配信したユーザーの購買などを検証可能。

    • AmazonはAWS上に「Amazon Marketing Cloud」を展開し、Amazon広告と自社データを掛け合わせた効果検証などが可能。

  2. 広告代理店

    • 電通などの大手広告代理店は、複数の媒体を横断したデータ分析が可能なデータクリーンルームを提供。

  3. 独立系ベンダー

    • SnowflakeやDatabricksなどのDWH、CDP、IDソリューション等が出自のベンダー。


で、リテールメディアのデータクリーンルームは何がすごいの?

あまりにも長い前置きだったが、本題に移ろう。今回発表されたのは、上記3つのプレイヤーではなく、リテールメディア提供企業であるツルハホールディングスがデータクリーンルームを提供するということである。リテールメディア支援会社であるアドインテは、これは業界初と銘打っている。


プレスリリースの図から推測して具体化すると、このようなことができるのではないだろうか。

  1. 化粧品会社が化粧水の値引きクーポン広告をツルハアプリで配信する。

  2. 値引きクーポンを利用して消費者はツルハ店舗で購入する。

  3. 化粧品会社のCRMデータはツルハDCRに共有されている。

  4. データクリーンルームを使って分析してみると、値引きクーポンを使って購入したのは既存顧客がほとんどであり、新規顧客の獲得につながらない値引き施策になっていたことがわかった。

  5. そこで、競合化粧水の購入者には値引き訴求のクーポン広告を配信してブランドスイッチを狙い、既存顧客には値引きはせずにリマインドだけ行う

...といったこともできるのだろうか。


果てしなく高い壁

データクリーンルームは、企業がプライバシーを保護しながらデータを活用できる有用なツールだが、導入のハードルは決して低くない。プレスリリース中の図によると、ツルハデータクリーンルームはDatabricksを基盤にしているが、まだDatabricksを利用していない企業にとっては環境構築や教育が難しいことも考えられる。また、一歩間違えば顧客情報漏洩にも繋がりかねないため、ライトにテストをすることの難しい一大プロジェクトでもある。結果的には日本を代表する大手メーカー広告主と日本を代表するリテールの間でしか実現できない取り組みとはなるだろう。


リテールメディアの広告価値を証明するために

オンサイトリテールメディアのインプレッション数は、ソーシャルメディアやブログなどの一般メディアと比べると遥かに少ない。しかし、ターゲティングやモーメントを考えれば、リテールメディアの広告価値は遥かに高いはずだ。偏在するCPM10円の枠と比較されてはビジネスが成立しない。高い広告価値を持っていることを証明する手立てとして、リテールメディアによるデータクリーンルームには期待したいところだ。


関連ページ

メルマガ登録

​新たな記事をメールで配信します

ありがとうございます!

bottom of page